第2回では正規直行座標系にかわって斜交座標系を考えた.
では,座標軸がぐにゃぐにゃの,場所によって目盛の間隔も異なる一般座標系へ拡張するにはどうしたらいいだろうか.
実は,斜交座標系を考えることで,ほぼ一般座標系についても考え尽くしているのである.
ぐにゃぐにゃの一般座標系では全世界共通の基底ベクトルを考えることは不可能である.しかし,その無限小領域を考えると,そこは局所的には斜交座標系と見なせる.(正規直交座標系,直交座標系とは見なせない.)
これは,紙と布の関係に似ている.紙は(濡らした和紙など特別な例を除いて)伸び縮みせず,斜めに引っ張っても変形しない.一方,布は伸び縮みするし,斜めに引っ張れば斜めに伸びる.つまり,紙は正規直交座標系,布は斜交座標系と見なせる.スイカ1/2は風呂敷でぴったりとくるむことが出来るが,紙では出来ない.
これが,テンソルで考える意義である.