A gentle guide to Tensor 7

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ひとまず,ここまでのおさらいをすると,ニュートンの運動方程式は

であった.ここにドットはニュートンの絶対時間tによる微分である.また速度vは変位xの絶対時間微分で,
である.この運動方程式はガリレイ変換,すなわち

に対して不変である.ここにプライム記号は,静止座標系から見て速度v0で移動している座標系での座標値である.見ての通り時刻tは座標系によらないため,ニュートンはこれを絶対時間と呼んだ.

我々の問題は,ガリレイ変換がもはや正しくないことである.より正しい変換はローレンツ変換,すなわち

 
なる変換である.

こうなると,時刻tというのはもはやスカラーではなくベクトルの1成分であるから,時刻tで微分したものはベクトルではなくなってしまう.つまり,ローレンツ変換に対して不変ではなくなってしまう.そこで,代わりのスカラーが必要になる.幸い,

としたときの(このテンソルxiは時空間における世界点を表す,と言う),
はスカラー量である.ルートの中のマイナス符号は,dτがv0→0の極限では絶対時間dtと一致するために必要な符号である.(虚時間ではなく虚空間を採用していればこの符号は不要だっただろう.)dτの積分τは座標系に固有の時刻,つまり固有時,と呼ばれる.変位xiを固有時τで微分したものを4元速度という.
この4元速度に質量mを掛けたものを4元運動量と呼ぶ.
運動方程式を,この4元運動量の固有時微分だとすると,
となる.右辺のfiは4元力と言うものである.4元力の説明は退屈だし,数学的に見るべきものはないので,結論だけ言うと,ローレンツ変換に対する不変性(正しくは共変性)の要請から
が言える.4元力の時間成分f0は,ニュートン力学で言えば仕事率である.f0について,絶対時間tを復活させて運動方程式を書き下せば,
であり,両辺をtで積分すると
である.ここにEは(運動)エネルギで
である(Wは仕事率).静止している系ではv0=0から
である.これは一般にE=mc2として知られている式である.

余談だが,E=m/√(1-v02)をテイラー展開すると

となり,ニュートン時代の運動エネルギmv02/2が顔を出す.

参考文献

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