A note on Electromagnetic theory 5: 誘導起電力

マクスウェル方程式の第三の主張(普通は第二の主張と呼ばれる)は,


である.この主張は「電場の回転(ローテーション,rot)の大きさは磁束密度の時間変化と等しくて,その向きは逆だ」ということだ.

まず回転を解剖しよう.回転とは,おおざっぱに言えば,あるループに沿って流れている流束の総和だ.回転は渦のようなものだ.いま,水の流れる川に,瞬間的にリング状のホースを設置したとする.ホースの中に閉じ込められた水は,ホースの中をどのように流れるだろうか.もし川の流れに渦がなければ,川の中にどのようにホースを設置しても,ホースの中の水は流れない.つまり,回転が0なのである.

もう一度マクスウェルの主張に立ち返ると,もし磁束密度が時間変化しなければ,式は rot E = 0 と読める.磁束密度が変化しない場合,あるいは磁束が無ければ,電場Eは渦を作らない.また逆に,磁束密度を変化させると,そこに必ず電場が生じる.これは,コイルの中に永久磁石を出し入れすると観測される現象である.

マクスウェルの主張は,電場を生じさせるには,電荷を持ってくるか(div E は電荷に依存する),磁束密度を変化させるか(rot E は磁束密度変化に依存する)の,どちらかまたは両方でしかないということでもある.そのほかの方法で,電場を生じさせることは出来ない.

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