本稿ではクォータニオン(四元数,しげんすう)について解説する.ただし,解説といってもクォータニオンとはなかなか味わい深い数であるので,いろいろな数の物語を通じてクォータニオンに到達しようという趣向である. 本稿は例えば3次元コンピュータグラフィックス(CG)に関わっている人で,クォータニオンが使えるけれどもよくわからないという人(つまりは昔の筆者)を対象にしたつもりであるが,本稿を読むにあたってコンピュータグラフィックスの知識は全く必要ない. また本稿では,クォータニオンの他にベクトルや複素数の本当の意味も解説する.なぜならクォータニオンとは『ベクトルをたっぷりふりかけ,複素数にどっぷり漬け込み,反エルミート行列でこんがりと焼き上げた』数だからである.これらの事柄は全部本稿で説明した. 一方,本稿では次のことを(クォータニオン理解の基礎ではあるが)説明しなかった.
これらの事柄(大学1年生程度)は別の教科書を参考にされたい. 本稿は次のような構成になっている.
最後に余談としてスピノールという考え方にも触れる. ところで,本文中にも触れるが,本稿では次の新しい記号を発明する. [[a,b]]=a+ib ここでaとbは実数でありiは虚数単位である.この記号[[a,b]]は実数部aと虚数部bを持つ複素数を作る記号である. ではさっそくテーブルについて,クォータニオンを賞味しよう. (下記のリンクからPDFファイルをダウンロードして下さい.) |
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